1.国家戦略特別区域である東京都大田区の外国人滞在施設経営事業とは

国家戦略特別区域である東京都大田区において外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約に基づき一定期間使用させ、滞在に必要な役務を提供するもの。区長の認定を受けることにより、当該事業については、旅館業法の規定が適用されないこととなります。(国家戦略特別区域法第13条 旅館業法の特例)

2.東京都大田区で民泊条例が策定された背景

東京都大田区で民泊条例が策定された背景は、安全性・衛生面の配慮と滞在施設不足の解消です。訪日外国人客の増加に伴い、太田区内のホテル・旅館などの客室稼働率が上昇しており、今後、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会を控え、さらなる訪日外国人客の増加が見込まれています。一方で、AIRBNB等、旅館業法に抵触する恐れのある民泊サービスが広がりを見せています。
こうした中、民泊サービスをルール化し、行政が一定の関与をすることで安全性・衛生面に配慮した滞在施設を提供する環境を整備するため、国家戦略特別区域法の旅館業法の特例を活用する必要がありました。
そこで、大田区では外国人旅行者が多く発着する羽田空港があることもあり、訪日外国人客が滞在できる環境を整備し、地域経済の活性化、観光、国際都市の推進につなげていく

3.東京都大田区の民泊についての主な認定要件

1.賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき使用させるものであること。

2.施設の居室の要件等
・一居室の床面積25平方メートル以上であること。
・出入口及び窓は、鍵をかけることができるものであること。
・出入口及び窓を除き、居室と他の居室、廊下等との境は、壁造りであること。
・適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備を有すること。
・台所、浴室、便所及び洗面設備を有すること。
・寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理のために必要な器具又は設備及び清掃のために必要な器具を有すること。
・施設の使用の開始時に清潔な居室を提供すること。
・施設の使用方法に関する外国語を用いた案内、緊急時における外国語を用いた情報提供その他の外国人旅客の滞在に必要な役務を提供すること。

3.当該事業の一部が旅館業法 第二条第一項 に規定する旅館業に該当するものであること。

4.滞在期間が6泊7日以上であること。

5.建築基準法上「ホテル・旅館」が建築可能な用途地域であること。

※大田区における国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の実施地域は、既存の都市環境、住環境保全の観点から、建築基準法第48条により「ホテル・旅館」の建築が可能な用途地域(第1種住居地域にあっては3,000平方メートル以下)とします。
実施地域:第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、第一種住居地域(3,000平方メートル以下)

4.東京都大田区の民泊条例のポイント民の拍事業の用に供する施設を使用させる期間が7日以上

1.民泊事業の用に供する施設を使用させる期間が7日以上

⇒民泊条例の対象期間は、地域のホテルや旅館との役割分担、主として外国人の1施設における滞在期間等を総合的に考慮して7日以上としています。これは、多くの自治体で短期賃貸借の期間となるのが最低7日となっていることと合致します。

 
2. 民泊施設への立入調査等
⇒大田区長は、職員に、認定事業者の事務所又は外国人滞在施設に立ち入り、又は関係者に質問させることができます。認定をもらってもそれはスタートにすぎません。条例で定めた条件を守っていないような疑いがあれば、立入調査を行い、違法行為が確認できた場合は、特定認定の取り消しになる可能性があります。

 
3. 近隣住民への民泊事業の事業計画の周知
⇒認定を受けようとする者は、あらかじめ事業計画の内容について近隣住民に周知にしなければいけません。これは近隣住民の不安の解消、治安の維持目的です。ですから、まったく誰にも知れずに特定認定を受けて民泊ビジネスを行うことはできません。

 

5.大田区での民泊許可申請に必要な書類

 

(1)住民票の写し(申請者が個人である場合)
(2)定款又は寄附行為及び登記事項証明書(申請者が法人である場合)
(3)賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款(外国語表記とその日本語訳)
(4)施設の構造設備を明らかにする図面
(5)滞在者名簿の様式
(6)施設を事業に使用するための権利を有することの以下の証明書類
① 施設を賃借し事業に使用する場合…施設所有者と申請者との間の賃貸借契約書、転貸を承諾する書面
② 施設を所有し事業に使用する場合…施設に係る不動産登記事項証明書等、所有の事実を証明する書類
(7)近隣住民へ周知した書面及びどのように周知、説明、近隣住民の理解を得たかを記載した書面
(8)消防法令に定める手続きを行ったことが確認できる書類

標準審査期間については、申請後1ヵ月程度が目安となります。

 

 

東京都大田区の民泊条例に関するお問い合わせは・・・

TEL:06-6375-2313(※相談予約制)

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