大阪市で簡易宿所の玄関帳場が不要となる条件
大阪市で簡易宿所を開業する場合、原則として玄関帳場の設置が必要です。
しかしながら、これがネックになって簡易宿所の要件を満たせないことが多かったため、緩和を求める声が多くあがっていました。
そこで、大阪市でも重い腰を上げ、一定の要件を満たした場合には簡易宿所の玄関帳場が不要となりました。
大阪市の簡易宿所開業の際に、玄関帳場が不要となる要件は以下の通りです。
客室面積が33㎡未満のものであること
これは、大阪市の簡易宿所開業の際に、玄関帳場が不要となるのは、客室面積が33㎡未満の小規模な施設に限られる、ということです。このような規制となったのは、以下の理由かと思います。
①33㎡未満の小規模な宿泊施設の場合、そもそも売上げが多くないことから、玄関帳場を設置して人を雇用し、24時間体制で人の出入りを監視することはコスト面から難しい
②33㎡未満の小規模な宿泊施設の場合、人の出入りもさほど多くはなく、ビデオカメラ等の監視である程度代用できる
このような理由から、客室面積が33㎡未満のものである場合には、玄関帳場を不要としています。
逆に、33㎡以上のある程度の広さの物件については、従来どおり玄関帳場が必要です。一定の要件を満たせば、玄関帳場が不要になるわけではないことに注意が必要です。
以下のような設備を設けること
ア 客室、便所その他宿泊者の宿泊の用に供する部分(以下「宿泊施設」という。)に近接した場所に宿泊者等との面談及び法第6条第1項の宿泊者名簿への記載を行うための事務室(以下「管理事務室」という。)を有すること
これは、物件の構造上玄関帳場を設けられない施設に配慮し、近隣に管理事務室をおくことで玄関帳場と同様の機能を持たせる、という趣旨の条件です。
イ 宿泊施設の出入口に宿泊者の出入りを確認するためのビデオカメラその他の機器を有すること
玄関帳場の主な目的は、宿泊施設の人の出入りを監視することです。そのため、人の目に代わるものして、ビデオカメラで人の出入りを監視することが必要となります。
ウ 宿泊施設の出入口及び窓は、鍵をかけることができるものであること
鍵がかけられない宿泊施設というのは、あまり考えられませんが、玄関帳場を不要にすることは、人の出入りを自由にすることを意味しません。
エ 宿泊施設及び管理事務室に宿泊者と連絡をとることができる電話機その他の機器を有すること
何か困りごとや緊急事態があったときに、すぐに連絡が取れないと、宿泊者の安全や周辺住民の安全は確保できません。そのため、すぐに連絡できる体制は必須です。
オ 宿泊施設及び管理事務室の出入口に近隣住民からの苦情等に対応する者の氏名及び電話番号並びに当該宿泊施設及び管理事務室が簡易宿所営業の施設である旨が表示されていること
例えば宿泊者が大騒ぎする、ゴミを散らかす等のことがあった場合、ホストがきちんと対応する必要があります。また合法的な運営物件である旨を表示し、安心して宿泊できるようにする必要があります。
カ 宿泊施設の出入口に管理事務室の所在地が表示され、かつ、管理事務室の出入口に宿泊施設の所在地が表示されていること
上記の内容との関連で、宿泊施設から管理事務室に行ったり、管理事務室から宿泊施設にちゃんとたどり着けるように表示が必要です。
事前に次に掲げる事項を記載した書面を使用し、近隣住民に対して説明会又は戸別訪問を実施すること
(1) 簡易宿所営業を営もうとする者の氏名
(2) 施設の名称及び所在地
(3) 営業の種別
(4) 苦情等に対応する者の氏名及び電話番号
(5) 廃棄物の処理方法
このあたりは特区民泊と似ています。お金はあまりかかりませんが、近隣に大きなタワーマンション等があると、近隣住民に対して説明会又は戸別訪問を実施することは結構大変です。
次に掲げる措置を講じること
(1) 使用開始時に宿泊者に注意事項を説明すること
(2) 注意事項を記載した書類を備え置くこと
(3) 騒音等により周囲に迷惑をかける行為を行う場合にあっては、当該行為を中止するよう求めること
(4) 苦情等の窓口を設置し、近隣住民からの苦情等に適切に対応すること
(5) 自らが遵守すべき事項を記載した手引書を作成すること
(6) 宿泊施設が存する建物の出入口の付近に当該宿泊施設が簡易宿所営業の施設である旨の表示をすること
いわゆるハウスルールというものです。外国人は日本と文化、習慣が違います。それだけでなく、「旅行」に来ているのですから、「非日常」を楽しみたいのです。ですから、かなり詳細なものを作ったり、配布方法を工夫したりして、しっかりとしたハウスルールの周知徹底が図れるかでトラブルの発生率は大きく変わります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
大阪市で玄関帳場を廃止するには、それなりの条件が必要であることが理解できたのではないでしょうか。
消防法や建築基準法等、クリアすべきことはまだまだ多いですが、これで今後は小規模な物件についても簡易宿所の開業はやややりやすくなるのではないでしょうか。
当事務所では、簡易宿所、ゲストハウスの開業をお考えの方に随時コンサルティングを行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。