1.特区民泊の民泊の規制緩和

従来、特区民泊での滞在日数は最低7日からでした。そしてビジネス上、ここが一番のネックとなり、特区民泊の申請を断念する方が多かったのが事実です。

しかし、9月9日の国家戦略特別区域諮問会議で、特区民泊の最低滞在日数制限を、現在の6泊7日から、2泊3日に緩和する方針が決定されました。

報道によれば、近く関連政令が改正され、この秋にも2泊3日に滞在日数が短縮される見込みです。

資料は下記のとおりです。

 

参考:9月9日の第23回国家戦略特別区域諮問会議資料2-2

国家戦略特区における追加の規制改革事項について(案) 平成 28 年 9 月 9 日
国家戦略特別区域諮問会議

○ 特区における「民泊」の最低宿泊・利用日数の引下げ

・ 内外観光客等の宿泊ニーズの急増に対応するため、本年2月よ り東京都大田区や大阪府門真市・藤井寺市などの国家戦略特区に おいて行っている、いわゆる「民泊」事業(特区民泊)については、現 時点で、既に 22 事業者(うち個人事業者6人)が運営する 27 の宿泊 施設(63 室)を認定することにより、滞在者の合計は 208 人(うち外 国人 104 人)にも上っており、特区民泊は、順調に実績を伸ばしてき ていると評価できる。

・ 特に、大田区では、民泊事業者が旅館組合を通じ、近隣ホテルに 鍵の受け渡しや本人確認の業務を委託することにより、事実上双方 でフロントを共有する試みが見られるなど、民間の知恵・アイデアを 活かした好事例も生まれてきている。また、近隣の住居などへの配 慮を十分に行うことで、地域社会に受け入れられることも確認されて いる。

・ また、本年中には、福岡県北九州市など、その他の国家戦略特区 でも関係条例が整備され、特区民泊が開始される予定である。

・ これらの実績等を踏まえ、「日本再興戦略 2016」(平成 28 年6月2 日閣議決定)に基づき、国家戦略特区に係る区域会議において関 係の地方自治体や民間事業者等から随時、事業実施に伴う具体的 な諸課題に係る意見聴取等を行ってきた。

・ その結果、現在内閣府及び厚生労働省の共同通知により事業者 に義務付けている近隣住民との調整や宿泊者名簿の設置などの措 置を、より効果的かつ透明なものとするため法令上明記するととも に、地域の事情により異なる宿泊施設の不足状況等に適切かつ迅 速に対応できるよう選択肢の幅を拡げるとの観点から、特区民泊に おける「最低宿泊・利用日数」を、現行の「6泊7日」から「2泊3日」に 引下げるとの要件緩和を行うため、直ちに、必要な法令上の措置を 講ずる。 なお、これらのほか、今後整備される全国ルールの検討に併せて、 行政庁による立入検査に係る法的措置も検討する。

出所:第23回 国家戦略特別区域諮問会議 配布資料2-1

 

2.滞在日数の緩和はなぜ1泊からではなく2泊3日からなのか?

ここで滞在日数の緩和はなぜ1泊からではなく2泊3日からなのか?という疑問がわくかもしれません。

こちらは1泊2日からだと現行のホテルや簡易宿所と同じ条件になってしまうので、旅館業界からの反発を考慮した形であると思われます。

ただ、実際、実際に、Airbnbが公表したデータによると滞在1回に平均宿泊日数は3.8日となっており、民泊では2泊3日以上であれば十分に民泊の運用は可能であると思われます。

実際、客室がたくさんあり、効率的に客室清掃ができるホテルとは異なり、規模の小さい民泊は清掃コストが膨らみます。

そのため民泊ホストは最低宿泊日数を「2泊3日以上」に設定していることが多いです。

ですから、特区民泊が民泊ホストの実態に即した形に規制緩和されたことで、伸び悩んでいた特区民泊の申請数は一気に加速することは間違いありません。

 

3.特区民泊の緩和措置による今後の民泊ビジネスへの影響

今回の最低滞在日数短縮により、民泊ビジネスにおいては特区民泊の活用がさらに進むことが期待されます。

特区民泊が可能な自治体は以下の通りです。

実施時期 実施可能エリア
平成28年中(予定) 北九州市
平成28年10月以降 大阪市
平成28年4月 大阪府(※大阪市、堺市等を除く一部地域のみ)
平成28年1月 東京都大田区

平成28年9月現在、大阪府(一部地域)と東京都大田区では特区民泊での申請を受け付けています。
そして、来月10月以降には大阪市で、年内には北九州市での特区民泊の開始が予定されています。

今までは2泊3日等の短期の宿泊者を宿泊させるにはビジネス上は簡易宿所の許可を取るしかありませんでしたが、最低滞在日数の短縮を受け、これらの地域では、特区民泊が合法的な民泊の主流になっていくと思われます。

また、一定数の申請が見込まれ、大きな問題が出ていないのであれば、近隣の市でも追随し、民泊緩和の流れが加速していくことでしょう。

 

4.特区民泊での滞在日数の緩和がマンション等の不動産価値に与える影響

 

現在は一棟マンションを民泊に利用したいという相談が多いですが、現行の旅館業法で簡易宿所等の許可を取ろうとすると、容積率の制約があることから、一棟丸ごとの旅館業許可取得は困難な状況が続いていました。

しかしながら、マンションでのワンルーム経営も想定して作られた特区民泊制度であれば、既存の共同住宅と同様に容積率の緩和措置を受けることができます。

また各部屋における玄関帳場設置義務(※いわゆる受付カウンターです)等もないため、マンション一棟の旅館業許可取得が容易です。

その結果、最低滞在日数が2泊3日になることを受け、特区民泊が施行された地域では、一棟マンションの価値が上昇するのではないかと思います。

問題は、区分所有マンションでのワンルームで特区民泊を利用する場合だと、管理組合の存在がネックになることです。

ワンルームマンションで特区民泊の制度を利用する場合、投資用の区分所有マンションであっても、建物一部の特区民泊化が、建物全体の消防設備や防火体制に影響を与える可能性があるため、すべての区分所有者の合意を形成するのはかなりハードルが高いように思います。

ですから、特区民泊の2泊3日への日数の緩和により価値が上がるのは、区分所有ではなく、一棟マンションと予想されます。

今後これらの地域で、民泊投資用マンションを建設・販売する場合は、次の3つの方法が考えられます。

①一棟ごと大口の投資家に販売する

②不動産を証券化して販売する(※原則として第二種金融商品取引業、投資助言業の登録が必要)

③「不動産特定共同事業」などのクラウドファンディングの手法により、一棟の所有権を保持したまま、持分を投資家に販売する

 

 

このように、特区民泊の日数制限の緩和は不動産の価値にも大きな変化をもたらすものといえそうです。

 

5.当事務所のサービス

上記のように、特区民泊の2泊3日への日数制限の緩和は民泊ビジネスを大きく加速すると思われます。

しかしながら、単に特区内に不動産を持っているだけでは合法的な民泊運営はできません。

合法的な民泊運営には、「特定認定申請」を行い、許可を受けてはじめて行えるのです。決して自動的に違法民泊が合法化されるわけではありません。

ただ、自分の物件が民泊許可の条件を満たしているのか、またこのような申請資料をどのように作成したらいいのかは素人では到底わからず、二の足を踏んでしまっているケースが多いです。

そこで、許認可申請の専門家である行政書士が国家戦略特別区域において外国人滞在施設経営事業許可申請(特定認定申請)を行います。

当該申請が許可されれば、特区内での民泊を適法に行えることになります。

申請受付可能な自治体は、2016年1月より東京都大田区を皮切りに、2016年4月より大阪府(大阪市・堺市東大阪市・豊中市・高槻市・枚方市を除く)となっております。

10月には、ビッグマーケットである大阪市でも解禁されます。

当事務所では、現在、特区民泊の申請を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

申請先 自治体へ払う手数料 報酬(税別) 合計
 大阪府の申請 21,200円 200,000円 221,200円
 大田区の申請 20,500円 250,000円 270,500円

※当該申請は、1部屋、1物件単位で行う必要があるため、上記金額は1部屋、1物件単位での金額です。物件数(部屋数)が多い場合、継続的なお取引の場合には大幅な割引価格がございますのでご相談ください。
※上記金額の他、交通費・送料・証明書発行料等の実費がかかります。
※東京都での申請の場合には、上記金額に実費である新幹線代等が加算されます。
※上記報酬表は、予告なく変更する場合があります。

 

特区での民泊許可に関するお問い合わせは・・・

TEL:06-6375-2313(※相談予約制)

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