1.大阪市の民泊条例が成立
2016年1月15日、マンションの空き部屋等を宿泊施設に利用できる「民泊」を認める大阪市の民泊条例が成立しました。
その条例案がこちらです。
国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例案
(趣 旨)
第1条 この条例は、国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号。以下「法」という。)第13条第1項に規定する国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(以下「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。
(国家戦略特別区域法施行令第12条第2号の条例で定める期間)
第2条 国家戦略特別区域法施行令(平成26年政令第99号。以下「令」という。)第12条第2号の条例で定める期間は、7日とする。
(立入調査等)
第3条 市長は、法第13条第9項の規定の施行に必要な限度において、その職員に、同条第4項に規定する認定事業者(以下「認定事業者」という。)の事務所又は令第12条第1号に規定する施設(以下「施設」という。)に立ち入り、当該認定事業者に係る認定事業(法第13条第4項に規定する認定事業をいう。以下同じ。)の実施状況について調査させ、又は関係人に質問させることができる。
2 前項の規定により立入調査又は質問を行う職員は、現に滞在の用に供している施設の居室に立ち入るときは、あらかじめ、当該施設に係る認定事業者及び当該居室に滞在している者の承諾を得なければならない。
3 第1項の規定により立入調査又は質問を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
(認定事業者の責務)
第4条 認定事業者は、事前に、施設の近隣住民に対し、当該施設が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用されるものであることについて、適切に説明しなければならない。
2 認定事業者は、施設の滞在者に対し、使用開始時に、次に掲げる施設使用の際の注意事項を説明しなければならない。
(1) 施設に備え付けられた設備の使用方法
(2) 廃棄物の処理方法
(3) 騒音等により周囲に迷惑をかけないこと
(4) 火災等の緊急事態が発生した場合の通報先及び初期対応の方法(防火、防災設備の使用方法を含む。)
3 認定事業者は、近隣住民方の苦情等の窓口を設置し、近隣住民に周知するとともに、近隣住民からの苦情等に対しては適切に対応しなければならない。
(手数料)
第5条 法第13条第1項に規定する特定認定(以下「特定認定」という。)に係る事務で次の各号に掲げるものについては、当該各号に定める額の手数料をその申請をする者から徴収する。
(1) 特定認定の申請に対する審査 1件につき21,200円
(2) 法第13条第5項の変更の認定の申請に対する審査 1件につき10,500円(認定事業に係る施設について現地調査を行う必要がない場合にあっては、2,500円)
(手数料の減免)
第6条 市長は、特別の事由があると認めるときは、前条の規定による手数料を減額し、又は免除することができる。
(手数料の還付)
第7条 既納の手数料は、還付しない。ただし、市長が特別の事由があると認めるときは、その全部又は一部を還付することができる。
(施行の細目)
第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、市規則で定める。
附 則
この条例の施行期日は、市長が定める。
2.大阪市の民泊条例の主な内容
①条例の対象は6泊7日以上
②居室の床面積25平方メートル以上であること
③日本人も滞在可能
④市の立ち入り調査可能
⑤パスポートでの本人確認と滞在者名簿の作成を義務付け
⑥実施後は毎年利用動向や市民生活への影響を検証し議会へ報告
⑦近隣住民への事前説明、苦情窓口の設置、滞在者への説明(設備使用法、ごみの出し方、騒音を出さないこと、火災時への対応)を事業者に義務付けることを条例に明記する
⑧施行日は10月以降、他都市で問題が起これば延期も可能
⑨民泊として貸出可能なのはホテル、旅館が建設できるエリア
3.大阪市の民泊条例と大阪府、大田区の民泊条例との違いについて
大阪府、東京都大田区にも同じく民泊条例が制定されていますが、それぞれ共通する部分が多いものの、若干の違いがあります。
例えば大阪府の民泊条例と大阪市の民泊条例を比較した場合、今回の大阪市の条例と大阪府民泊条例との一番大きな違いのポイントは、第4条の「認定事業者の責務」になるかと思います。
このような近隣住民の事前説明や滞在者への説明義務に関する条項は、大阪府の条例にはありません。
また大田区の条例でも、「事業計画の内容について近隣住民に周知しなければならない」と規定されてはいますが、「事業計画の内容」とは何なのか、どこまで具体化しなければいけないか等は不明確で、ここまで具体的な規定にはなっていません。
ただし、民泊の検討会では、「近隣住民との調和」が重要テーマとなっています。ですから、今後大阪府や大田区も、規則やガイドラインで、大阪市のような近隣住民との調和を図るようなルール作りをする可能性は高いと考えられます。
4.大阪市の条例の施行はいつになるのか
この条例の施行時期については、条例の成立時点では確定情報は出ていませんので、正確な回答としては、「未定である」という何ともいい加減な回答となってしまいます。
ただ、同日に可決された附帯決議では、
「ガイドラインの作成や事業の周知等、十分な準備が必要であり、また他都市の実施状況や国の民泊をめぐる動向も注視し踏まえる必要があることから、条例上の「市長が定める日」である施行日は平成28年10月以降とすること。ただし、なお市民の安全・安心が十分確保できないと認められる場合には、条例の施行をさらに延期すること」
とされており、現段階では大きなトラブル等が起こらない限り、早くても平成28年10月以降になる見込みです。
大阪府の条例は4月以降に施行される予定ですので、大阪市内の条例施行は半年ほど遅れることになります。
5.当事務所のサービスについて
当事務所では、民泊条例の施行にあわせ、特定認定を取得したい方の相談を随時受け付けております。
民泊ビジネスへの参入をお考えの方は、まずはご相談ください。
大阪市民泊条例の相談、お問い合わせは・・・
TEL:06-6375-2313
(※相談予約制・5400円/30分)
フロンティア総合国際法務事務所 まで!