トレーラーハウスで民泊許可申請は可能なのか
現在、ワンルームマンションや戸建て物件等で、民泊事業を開始したいという方はたくさんいます。
しかし、建築基準法の問題で、民泊事業を断念してしまった方も少なくありません。
ここでもし、あなたが古い物件を1棟持っていたとします。
しかしこれが建築基準法上クリアできない民泊物件であれば、建築基準法に合うようにリノベーションするか、建物をいったん壊してホテル・旅館や簡易宿所の要件に適合するよう、再建築するしかありません。
これでは、あまりに費用が掛かりすぎて、民泊事業をあきらめるしかないケースも少なくありません。
ではここで、建築コストが安く、高い確率でホテル・旅館や簡易宿所の要件に適合させられるような物件があればどうでしょうか?
欲しくなりませんか?
この解決策の一つが、「トレーラーハウス」です。
ではなぜ「トレーラーハウス」の活用が民泊許可に非常に大きな役割を果たすのでしょうか。
トレーラーハウスとは
まず、「トレーラーハウス」とはそもそも何?と思われた方も多いかもしれません。
実際、皆さんはトレーラーハウスってどんなものかご存知ですか?聞いたことありますか?
民泊用に作られたトレーラーハウスはお風呂・キッチン・トイレ等の民泊の許可に必要な設備を備えており、 しかもそれらは一般の旅館・ホテル、簡易宿所と同じものを使用しています。
もちろんエアコンや冷蔵庫なども家電量販店で買えるものが使用できますので、 特別なものを用意する必要はありません。
断熱材もきちんと使われているので、室内に入ってしまえば一般の民泊物件と変わりはありません。
大きさも、小さいものから大きなものまであり、収容人数2人以上での民泊物件として活用可能です。
一方で、トレーラーハウスが一般の民泊物件とは違い、「車輪」がついているのが特徴です。つまり、移動が可能なのです。
つまり、「トレーラーハウスは移動の容易な民泊物件」なのです。
トレーラーハウス民泊物件は「車両扱い」となる
トレーラーハウスはタイヤがついているため、不動産として扱われず、「車両扱い」となります。
ここがトレーラーハウスのミソで、民泊物件が不動産でなく車両扱いになることで、様々なメリットを受けることができます。
ただ、それには一定の条件がありますので、これを以下説明します。
トレーラーハウスを「車両扱い」にするための条件
トレーラーハウスが「車両」とみなされる条件を満たすには、トレーラーハウスを建築物に該当しないとする条件をクリアする必要があります。
それは、日本建築行政会議「車両を利用した工作物」にある建築物に該当しない3つの条件のことです。
(建築物に該当しない条件)
1. 随時かつ任意に移動できる状態で設置し、それを維持継続すること
2. 土地側のライフラインとの接続が工具を使用しないで着脱できること
3. 適法に公道を走れること
以上の基準を守ったトレーラーハウスが、車両として認められたトレーラーハウス、ということになります。
逆に言えば、上記3つの条件を満たしていないトレーラーハウスは、建築物という扱いになり、 事前に建築確認を取らないと違法建築物になってしまいます。
トレーラーハウスの設置基準
トレーラーハウスを車両扱いとするためには、設置にもいくつかの基準があります。
これについては、日本トレーラーハウス協会が出している、以下の基準が参考になります。
設備基準
・トレーラーハウスの移動に支障のある階段・ポーチ・ベランダ・網等がないもの。
・給排水・ガス・電気・電話・冷暖房等のための設備配線配管をトレーラーハウスに後続する方式が着脱式であること。
・その他、トレーラーハウスの規模{床面積・高さ・階数等)・形態・設賞状況等から、随袴かつ任意に移動できるもの。
・適法に公道を移動できること。
設置基準
① 車輸が取り外しされていないこと。また、車輸が走行可能な状態に保守されている二と。
② 車輪以外の物で地盤上に支持されている場合、その支持構造体の取り外しが工具を使わずにできること。
③ トレーラーハウスの進行方向に地面に画定された障害物がないこと。
④ トレーラーハウスの設鐙場所から公道に至る通路が録保されていること。
⑤階段やウッドデッキなどが併設されている場合、それらが独立した構造体であること。
⑥ 給水管の後続方法が工具を使わずに着脱できること。
⑦ 排水管の後続方法が工具を使わずに着脱できること。
⑧電気の配線方法が工具を使わずに着脱できること。
⑨ガスボンベがトレーラーハウスに積載されているかまたはレンチで簡単に着脱できること。
⑩ 電話・インターネット等の後続方法が、工具を使わずに着脱できること。
⑪ 冷暖房器具等の室外機がトレーラーハウスに積載されていること。
⑫ 適法に公道を移動してきたことを公的書類で証明できること。
その他、同一場所で10年を超えた使用は脱法行為となる可能性があります。
トレーラーハウスで民泊を行うメリット
1.建物が建てられない土地でも民泊許可を得ることが可能になる
例えば、市街化調整区域では、そもそも原則として建物の建築ができません。
しかし、トレーラーハウスは車両扱いのため、建築確認は不要です。そのため、建築確認申請にかかるコスト、時間を大幅に節約できます。
水道、ガス、電気を引けば直ぐに使える、というのはやや言い過ぎではありますが、市街化調整区域などの建物を建てられない土地にも納車が可能です。
2.いつでも好きな場所へ移動ができる
不動産物件を購入して民泊を始めた場合、立地が意外と悪かったり、後で問題があっても、移動はできません。
しかし、トレーラーハウスであれば、いい土地が見つかれば移動する、というスゴ技も可能です。
また、購入後に定員を増やしたければ増設する事も簡単で、反対に売却して現金に換える事も簡単に出来ます。
3.生活設備(冷暖房、ベッド、ソファー、洗面、シャワー、トイレ、キッチン、ダイニング、冷蔵庫)が整っていても安い
通常、土地を購入して新たに物件を建てると、最低でも1千万以上かかります。
しかし、小型のトレーラーハウスであれば、1千万未満で購入が可能です。
4.固定資産税などの維持費がかからない。
トレーラーハウスというのは動く車輪の上に建物があるため、『固定資産』ではありません。
つまり、固定資産税がかかりません(市町村による)。
しかも、自走式ではないため自動車税もかかりません。
つまり、税制上のメリットも大きいということです。
5.オーナーの許可や建物の構造上の問題で許可が下りないという問題が起こりにくい
賃貸不動産で民泊経営を始める場合、そもそもオーナーの許可をとるのが難しい、という問題があります。
一方、中古不動産を購入して民泊を始めた場合、もともと不法建築であったり、構造上建築基準法に合わせた修正が不可能な場合等があり、建物の構造上の問題で許可が下りないことがあります。
しかし、トレーラーハウスの場合は、設計の段階から許可要件にあったものにしていきますので、そのような問題は起こりにくいです。
まとめ
このように、トレーラーハウスでホテル・旅館や簡易宿所の経営を行うことは、非常にメリットが大きいと思います。
当事務所でも、トレーラーハウスを用いたホテル・旅館や簡易宿所の開業方法をコンサルティングしておりますので、民泊開業をお考えのオーナー様は、一度ご相談ください。