民泊は農林漁業分野では規制緩和されている
農山漁村で体験型の宿所を提供する場合、既に農山漁村余暇法という法律によって、農林漁家体験民宿の営業(宿泊料を受け取る民宿業)が法律上認められています。
その後、旅館業法の改正によって、農林漁業者が農林漁家体験民宿を営む場合は、客室の広さ要件(延床面積が33㎡以上)が緩和されました。
この規制緩和により、無制限ではないとはいえ、農林漁業者なら規模を問わずに農林漁家体験民宿を経営できることから、開業者が増えた経緯があります。
こうした、農林漁業者が経営する農林漁家体験民宿を、通称で「農家民宿」と呼びます。
一方、農林漁家体験民宿は、非農林漁業者でも経営は可能で、農林漁業の体験を提供する都合上、農林漁業者と連携して運営していきます。
こちらは、前述の農家民宿と区別するために、「体験民宿」と呼ばれます。
経営主体 | 農林漁業体験 | 客室延床面積 | |
---|---|---|---|
農家民宿 | 農林漁業者 | 提供あり | 問わない |
体験民宿 | 農林漁業者以外 | 提供あり | 33㎡以上 |
一般の民宿 | 問わない | 提供なし | 33㎡以上 |
農家民宿または体験民宿によって、農山漁村地域では、宿泊料を受け取る体験型の民宿が可能になりました。
ただし、昨今の人口減少に伴う農林漁業者の減少を踏まえると、非農林漁業者が運営する(田舎等の)体験民宿の規制緩和も求められています。
そこで、平成27年6月30日の閣議決定 では、体験民宿の客室延床面積に対し、33㎡以上の要件を適用除外にする措置がほぼ決まりました。
今後は、農林漁業者以外でも、民家を利用した小規模な体験型民宿を経営できます。
ここまで規制緩和されると、有償にするなら旅館業の許可を受けて農家民宿や体験民宿にすればよく、実質有償であるにもかかわらず、許可を受けない体験型の民泊は、今後風当たりが強くなりそうです。